率直に自分の気持ちだけを伝えましょう【こじらせない離婚弁護士の円満相談室】

4度の離婚経験を持つ円満離婚弁護士、原口未緒先生に夫婦問題に悩む皆さんの相談に答えていただきます。弁護士としてだけでなくカウンセラーとしても活躍する未緒先生だからこその視点で相談者さんへ寄り添います。第三回は余裕があるわけではないのに義理の両親へ送金を続ける夫をもつ妻からの相談です。

この記事を書いた人:

円満離婚弁護士 /原口未緒

相談:義理の両親に仕送り&賠償金肩代わり…これから子どもも生まれるのに心配です

バツイチでおめでた婚をして、現在妊娠5ヶ月です。結婚後の家計管理について相談です。私は安定した仕事をしていて月給は25万円前後です。夫は両親に月5万円の仕送りをしています。かつて500万円の貯金があったそうですが、お父さんが交通事故をしてしまってその損害賠償としてすべて渡したそうです。そしてそのお金は返してもらうつもりはないそうです。

私は食費だけ給料から出して、あとの家計管理は夫が自分でしたいといっています。

私は両親への仕送りをやめてほしいと考えています。一緒に外食したりすると夫が両親の分も全て支払っています。そして夫は「自分が犠牲になっている」と言います。私が「これから子どもも生まれるんだし貯金しないといけないんだから仕送りはやめてほしい」と伝えたところ「金のことを言われると、自分の給料が少ないとバカにされている気がしてムカつく」と言われました。

私は妊娠しているため収入が減ってしまいます。私のお金は子どものたまにも将来の貯金に回したいのです。彼が家計を管理するということは、彼の自由に使えるお金が多くなりそうで不安です。もっと両親へお金を使われたらたまったものじゃないです…。ですが、前回の結婚でも元夫が家計管理をしたがり、そこでもめたのがきっかけで離婚になった経緯もあり、今回は無理強いしたくないのですが、結婚生活は始めが肝心だと思いますし、どうしたらいいか悩んでいます。

彼氏はケチではありません。私に高額なプレゼントをくれたりもします。ですが、お金があれば使ってしまうのではないかと心配です。彼は「貯金は無理にしなくても何とかなる」という考えなのも怖いです。

彼が長男として両親を助けたいという気持ちは理解できるものの、両親はまだ働いているんです。私は生まれてくる子どもと三人でゆとりある生活を送り、将来のために貯金したいだけなんです。夫の両親は金銭的に困っているわけではないので、仕送りをする必要はないと思います。私は冷たいのでしょうか?夫は両親に強く言えないようです。「一人前として認められたい」「余裕があるように見られたい」という気持ちが強いのだと思います。

まとまりのない話になってしまいすみません。もし私が妊娠していなければ、バリバリ働けるのでこんな風に思わなかっただろうとも思います。将来の不安があって気持ちが落ち着きません。どうしたら夫に両親への仕送りをやめさせて貯金の大切さを分からせることができるでしょうか?そしてできれば損害賠償の肩代わりとして渡したお金は返してほしいと思っています。念書などは書いていないそうなのですが、加害者の当事者でもない夫がいくら両親とはいえ肩代わりしたお金を返してもらうことはできないのでしょうか?

未緒弁護士の回答:率直に自分の気持ち“だけ”を伝える

まずは、ここに書かれた純粋なお気持ちをご主人にお伝えしてみてはいかがでしょうか?

ご不安な気持ち…それもたくさんの種類のご不安がおありですよね。「妊娠している」「出産により自分の収入が減る」「家計を任せたら自分は家計の内訳を把握できないのではという思い」「将来のお金はどうなるのか」「家計管理が原因で前の結婚が破綻した」ざっと挙げただけでもこれだけの不安があるように感じます。

まずは、ご自分の心や気持ちの中にあるものを引き出しの中から一つずつ取り出して整理してから、ご主人に伝えてみてください。その際に一番重要なポイントは、「ご主人を責めたり欠けているところなどを指摘したりしているわけではなく、ご主人に何かをしてもらいたいわけでもない」ということを最初にその点を明確に伝えた上で、話を始めてください。

なぜこのような準備をして話を始めるかというと、男性は女性から何か指摘を受けると「責められている」「自分が至らない」「自分に欠けている部分がある」と勘違いをしてしまうことが多いためです。 あくまで相談者さんのお気持ちをただ聞いてほしいのだ、ということを、最初に明確に伝えてください。そうでないと男性は「何かをしなければならない」「解決しなければならない」と感じてしまうことが多いのです。

あくまで、あなたの感じていること、考えていること、気持ち、という、あなたの話のみをするようにしてみてくださいね。ご主人とご両親の関係にまでご相談者さんが口を出して、コントロールしようとすることはご主人にとって非常に気分を害する要因になるのではないかと思います。ご主人とご両親の関係が上手くいっているのであれば、それをあえて関係を悪化させる必要はないと思います。

未緒弁護士の回答:人は他人の考えを自分の価値観に当てはめて理解する

あなたの気持ちをすべて出し尽くして、思う存分ご主人に聞いてもらって相談者さんが満足できたら、そこからはじめて2人でこれからどうしていくのかを話し合ってみてください。まずはご主人にあなたの気持ちを伝えた後、その感想や受けた印象を聞いてみてください。そして、それを聞いたあなたの気持ちのフィードバックもしてみてください。

人は他の人の考えていることや、していることを、自分のフィルターや価値観などに当てはめて、かなり誤解をしていることが多々あります。そのため、まずは「素直に」「純粋に」「正確に」「裏表なく正直に表現をし」「受け取る」という会話や対話が必要です。くれぐれも自分の思い込みだけで突っ走らないように注意してくださいね。

思いやりをもって、「あなたのことを愛しているから不安にもなるし、こう感じる」という前提でいることを忘れないでください。

未緒弁護士の回答:返済してもらうより気持ちよく甘えられる環境をつくる

最後に…ご主人のお父様の損害賠償金の肩代わりの点について法的観点からのご回答もさせていただきますね。ご主人がお父様に賠償金を支払うためのお金を貸した、もしくは立て替えたのだとすれば、貸金または立替金となり、時効が成立する10年以内であれば、返還を求めることはできます。ただ、ご主人のご様子からすれば、お父様に返還を求めることはないのではないかと思います。ご両親が生活に困っているわけでもなく蓄えができるのでしたら、ご両親もご主人が出してくださった賠償金と同額もしくはそれ以上の金額を、ご主人と相談者さんが今後困ったときに「援助しよう」「協力しよう」とお考えなのではないでしょうか。

家を購入される際の頭金をご両親が支払ってくださった、というお話はよくお聞きします。 返還を求めるよりも、このように大きなお金が必要となる際に気持ちよく甘えられるようにしておく方が今後、良い関係を築くことができるのではないかと思います。 そのためにも、まずはご夫婦で裏表のない真実の対話をすることから始めてみてください。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

弁護士。14歳〜26歳まで、両親の離婚紛争を経験。その後、弁護士となり、自身も4回の経験したことから、円満離婚弁護士となる。3回目の離婚の際に、何度も離婚を繰り返してしまうのは、相手の問題ではなく、自分の問題なのではないかと思うようになり、10年以上にわたり、心理学、精神世界などを猛勉強し、現在はアカシックリーダーとしても活動している。