現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、家事よりも趣味や交友を優先し、夫に愛想を尽かされた30歳「家事レス」妻。エッチで解決しようとする彼女に、三松先生が夫婦の心得を伝授します。
※こちらは過去にananwebに掲載された記事を株式会社マガジンハウスの承認のもと「トキメキ」に掲載しています。
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【レスなひとびと】vol. 25
小百合(30歳)家事力レス。自分の趣味と交友はマメだけど
家事をなんもしないと、心広きパートナーに姑呼ばれちまう。
小百合は仕事から帰ってきて、ソファに倒れ込んだ。
「あー疲れた。麦茶麦茶」。
18時半。麦茶を飲みながら漫画の続きをアプリで読む。
「ここでキスするかあああ。まじかあ。キュンキュンするううう」
漫画の急展開にニヤニヤしていると、夫の俊二が帰ってきた。時計を見ると22時17分。
「ただいま。お腹すいたよー」
「私もお腹すいた。今日疲れたから作れてないの。なんか食べに行こう。ファミレスって便利ねえ」
俊二が怪訝な顔をする。
「疲れたなら仕方ないけどさ、今週小百合が料理当番なのに、毎日外食じゃん。それに今日は片づけるって約束したのに、ムッチャ散らかったままだし」
小百合もムッとして答える。
「そんなこと言ったって帰ったの9時半だから仕方ないじゃん。明日は作るよ」適当な嘘。
「わかった。じゃあ明日は麻婆豆腐がいいな」
次の日、仕事の帰り道。スーパーに寄ろうとしたその時、友だちのクミからLINEが入った。
「サユ、今、笹塚駅前でカエデと会ったの。3人で地元飲みどう?」
嬉しくてすぐに返信。
「いくいく~! 笹塚、3駅だし。今、家近いから着替えてから行くね」。
帰宅して黄色のブラウスに着替える。女子飲みとは言え、やぼったい服を着ているとディスるグループなのだ。そこへ俊二が帰宅した。
「ただいま。今日はちょい早く帰って来たよ~って、なんか出かける前みたいにきれいにしてるね」
「ごめん、今日友だちの相談で急きょ、飲み、はいった。今から出るね。なんか適当に食べて」。
鏡を見ながら俊二のほうを見もせず答える。お出かけ靴を履いて、バイバイしながらドアを閉める。
2日間洗われず放置された皿、溢れかえったゴミ箱はそのまま。部屋に生ゴミの異臭が漂う。今週は小百合が皿洗いとゴミ出しの番。俊二がそれらを片付け、一言漏らした。
「なんで……平気なんだろう」
深夜1時、帰宅した小百合はいい感じに酔っていた。
「俊二、しようか」
俊二が小百合の手を振りほどいた。
「ごめん、疲れてるから」
その日から俊二の帰宅はどんどん遅くなり、顔を合わせる機会が減った。帰らない日もある。
小百合ひとりで部屋は散らかり放題、鼻が麻痺して臭いさえ感じない。
俊二が久しぶりに帰った時、小百合は「エッチで仲直りしよう」と抱きついてみた。俊二が小さな声で脅すようにつぶやく。
「こんな臭い部屋で、油で汚れたシーツの上でそんなことできるわけないだろ。週末、うちの母親呼んで一緒に大掃除するからサユ、どっか行ってくれる?」
自分ばかり優先していませんか?家庭内をよーく見直して‼
家事イコール女性任せはナンセンスですが、小百合さんと俊二さんの場合、担当制で家事分担をしています。小百合さんは帰宅が早く、俊二さんは残業の多い職場のよう。なのに、家事をするのは俊二さんばかり。勇気をもって苦言を言ったにもかかわらず、翌日に約束をさっそく破られた。
「自分は軽んじられている」と感じても仕方がない。
お付き合いをしている段階なら、きれいにして、楽しい会話をし、セックスの相性が良ければいいでしょう。喧嘩が続いたり、「あり得ない」ことが見つかれば、別れればいい。
しかし結婚は永遠です。日常を過ごすなかで、全く家事をせず、家が年中汚いという状況で、心地よく一緒にいたいと思えるでしょうか。伝えても受け止めてくれないなんて言語道断。女性としてどうかではなく、人として嫌悪感を持ってしまうと、関係の修復はひと筋縄ではいきません。
自分が仕事で疲れたからと、生活に手を抜いていないか。外ヅラ良く見せるために、家庭を疎かにしていないか。自分の趣味を家事より優先していないか。よーく考えて。
会社や友人関係など、社会にはさまざまなコミュニティがありますが、夫婦は一番身近で密なコミュニティ。外ヅラだけでは寄り添って行けません。信頼を失う前に、パートナーへの思いやりを、行動や姿勢で示すように。
「ゴミ屋敷に愛はなし。心地よい愛の巣を作るのは妻の役目と思うくらいでちょうどいい。夫の分の家事分担も余裕があればやってよし」
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