女性用風俗という言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。しかしその実態を正確に知る女性は、まだまだ少なくありません。。この連載ではAV男優として15年以上活躍した後、女性用風俗店『エクスタシー東京』を立ち上げ、ご自身もセラピストとして絶大な人気を誇る哀田剛さんに、女性用風俗とはいったいどんなものなのか教えていただきます。第一回は“女性用風俗のセラピストとは”について語っていただきました。
女性用風俗のサービスは大きく分けて3つ
女性用風俗とは、風俗産業であり風営法により届け出をして行うサービスです。サービス内容は、大きく3つに分かれます。
女風サービス①性感コース
ホテルや自宅で全身をオイルマッサージし性感マッサージも行います。具体的にはマッサージオイルやアロマオイルを使用して体中をたっぷりとほぐしていくリラクゼーションマッサージのようなものです。このマッサージの間に女性はほぼ全裸になります。
その後、全身をフェザータッチしたり唇で愛撫したりしていきます。バストや首筋、足の指の先、そして最終的にはフェムゾーンの愛撫へと至ります。ただし、あくまでも女性のご要望が第一です。女性の求めることには尽くしますが、求めないことは決して致しません。
女風サービス②デートコース
食事やお酒、カラオケや遊園地など、ご要望の場所でご希望のデートを楽しむコースです。アイドルや俳優のようなイケメンと一日を過ごしたいというご要望もあれば、会いにいけるアイドルのような“推し活”として楽しまれている女性もいらっしゃいます。
女風サービス③オンラインコース
コロナ禍で直接お会いすることができなくなった時期にスタートしたサービスとしてオンラインで会話を行うといったものがあります。リアルに会うのではなくオンラインで会話を楽しむコースです。深夜からスタートすることもでき場所も自由ですし、一度も女風を利用したことはないけど、どんな人なのか気になるという方に向けても気軽に試せるコースだと思います。
女性用風俗のセラピストは年齢も職業もさまざま
どんな男性が女性用風俗のセラピストになっているかはとても気になるところだと思います。年齢的には20歳ぐらいから、上は50歳代から60近い方も少数ではありますがいらっしゃいます。
驚かれるかもしれませんが、職業でいうと一般的なサラリーマンといった方も多くいらっしゃいます。そういった方々は終業後や休日に女風の仕事をされています。または比較的時間に自由がきく職業の方や自営業、フリーランスといった方もいらっしゃいます。中には大学生がバイトをするような感じで女風の世界に入ってくるパターンもあります。
女風を専業としているというより、本業がありつつ副業的に行っている男性が多いように思います。女性用風俗一本で食べていけるのは売れっ子だけなのかもしれません。初めは兼業としてスタートしてその後、女性用風俗専業となる人も多くはありませんがいらっしゃいます。
女性用風俗セラピストの条件
私が考えるセラピストの条件がいくつかあります。
- 清潔感がある
- 女性の要望を的確におさえて、それにしっかりと応えられる技量
- お客様がどんな方で何を求めているのかを会話の中で自然と拾えるコミュニケーション力。初対面の方の懐に入る込める能力
- どんな方であっても分け隔てなく接するプロフェッショナルな姿勢
- 接遇やマナーといった面で女性を大切に扱えるお客様ファーストの接客
- カウンセラー的な視点。傾聴し、アドバイスすることはあっても決して否定はしない
- 「またこのセラピストと会いたい」そう思ってもらえるような一生懸命さ
お客様を大切にし、お客様の要望に応えられる姿勢と技量とコミュニケーションがなければ女性用風俗のセラピスト失格だと思います。
面接をクリアし講習を受けて初めて接客デビュー
女性用風俗セラピストとしてお客様の接客をするようになるには通常いくつかの段階を経ます。
STEP1:書類審査
履歴書、エントリーシート、写真(全身とバストアップ)を事前にLINEで送付してもらい書類選考を行います。
STEP2:面接
お店のオーナー等と面接を行い、先ほど私が述べたセラピストの条件やお店独自の基準をクリアする必要があります。
STEP3:講習
『エクスタシー東京』ではオイルマッサージや性感マッサージ、女性への愛撫のしかたなどの講習を、1回2時間、4日間に渡り行います。女性モデルさんに対し私が先にお手本を見せてから講習生が実技する流れで進みます。技術講習以外にもホテルの客室での施術の準備やセッティング方法、接客法の講習も行います。
STEP4:テスト
実際にお客様に接するように全身へのオイルマッサージから性感マッサージ、サービス終了までの一連の流れを行ってもらいます。私が試験官として参加し口出しはせずに各項目を採点し、合格点に達しなければいけません。不合格ならばセラピストデビューはできませんので再度チャレンジしてもらいます。
STEP5:モニター試験
試験に合格した後モニターさんに対してスタートから終了まで実際にサービスを行わせていただき、今度はモニターさんに採点してもらいます。二人のモニターさん対して施術を行い、二人ともに合格点をいただけたら、デビュー決定となります。
この5つのステップはあくまでも『エクスタシー東京』の内容です。お店によっては講習を1回で終わらせるところもありますし、仕事で必要なものだけ渡して講習などが無いような店舗もあります。そういったところでは満足なサービスを受けることは難しいと思いますので事前にしっかりとリサーチをしていただければと思います。
女性が求めることを提供するのが女性用風俗
それぞれ女性が求めていることは違うと思いますし、それに伴い女性側の受け止め方も違うものだと思います。ただ会話をして癒されたいと思っている方もいれば、性的な欲求を満たして愛情のようなものを感じたい。女性として扱って欲しいという方もいらっしゃるでしょう。
ケース1:家庭円満だけど性的に満たされていない
旦那さんがいて、子どももいて、家庭は上手くいっていて何不自由なく暮らしている。しかし、夫婦の間にはセックスがない。あったとしても満たされていない。ですが自分には性的欲求があるし、このまま女性として枯れていくのかと思うと一抹の寂しさを感じていた。そんな時に女性向け風俗という存在を知って勇気をだして利用したケース。
ケース2:イッてみたい
一度もイッたことがない方やクリトリスではイけるけれど、中ではイッたことがないといったケースや、一度もイッたことがなくて、どのような感じなのか経験してみたいケース。
こんなケース以外にもさまざまな理由で皆さん利用されています。女性は男性と違い、ただ性欲を解消する目的で利用するのではないのだと心の底から思います。
女性用風俗のセラピストは日常の中で「何か物足りない」「満たされていない」そういった部分を満たしてくれる存在でもあると思います。サービスを受けている時だけは彼氏や夫のような存在かもしれません。
藤子不二雄Ⓐの漫画で『笑ゥせぇるすまん』というものがありました。その中で主人公の喪黒福造(もぐろ ふくぞう)が「そんなあなたのスキマお埋め致します。いいえ、お金は一銭もいただきません。」というセリフをいいます。そんな言葉がふと思い浮かびました。ただし女性用風俗ではお金をいただきますが…(笑)。
セラピストは女性に夢を魅せるキャスト
私は女性が日頃から当たり前に行く美容室だったりネイルサロンだったり、エステサロンのような位置づけに女性用風俗がなれれば嬉しいなと思います。もちろんまだまだハードルが高く難しい問題がたくさんあるとは思いますが、女性用風俗が女性とって自分へのご褒美だったり、女性としての美しさを保ったり女性としての喜びを感じていただけるものでありたいと思っています。
女性用風俗のセラピストを題材としたテレビドラマが放映されるなど、昔と比べるとだいぶ認知度も上がってきたように思いますし、利用される方々も本当にごく普通の方々が多くいらっしゃいます。とは言っても、なかなか初めて予約するまでは躊躇や葛藤もあるでしょうし実際に利用するまでに時間がかかる方も多くいらっしゃると思います。そんな方々はこのような連載で女性用風俗について正しく知っていただければなあと思います。
女性用風俗で働く男性を“セラピスト”と呼ぶことが多いですが、私は何となく“キャスト”といった呼び方がふさわしいような気がします。キャストは映画や演劇、ドラマの出演者という意味で使われたりディズニーランドではゲストをお迎えするスタッフのことをキャストと呼んだりします。
女性用風俗のセラピストは女性にある意味、夢を魅せる職業だと思うのです。そう考えたら“キャスト”であるといってもいいのではないでしょうか。ぜひ気負いしすぎず、いま満たされないものを男性に対して感じているのであれば一度、女性用風俗の門をたたいてみていただければと思います。