学校の性教育では避妊の方法を教えてくれるケースは多くなく、正しい避妊法を知らないまま性交渉をスタートしてしまっている女性がとても多いと感じています。そこでこの連載では避妊の基本的なことから順序だててお話できればと思います。第二回は絶対に行って欲しくない誤った避妊法と海外の避妊事情です。

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”外だし”で約22%の女性が予期せぬ妊娠
生理中の性交渉と妊娠の可能性
「生理中に性交渉を持てば妊娠のリスクがない」という話を耳にされたことがあるかもしれません。しかし、これは大きな誤解です。確かに生理中は通常、排卵はしていないとされていますが、排卵日は人によって異なり、ストレスなどの外的要因によって排卵が早まることもあります。そのため、生理中でも避妊は絶対に必要です。さらに、精子が体内で長く生存していれば排卵が生理中であっても、妊娠する可能性があります。
シャワーとビデによる妊娠防止の誤解
「性交後すぐにシャワーやビデで膣を洗えば、妊娠を防げる」という誤解もあります。射精された精子は手に届かないところに入ってしまうので洗っても避妊効果はありません。それだけでなく膣内を洗浄することで、常在菌の良い菌がいなくなり、ニオイや感染の原因となるため注意が必要です。
膣外射精のリスクと真実
「膣外射精(外だし)をすれば安全」という考え方ですが、これも高いリスクを伴います。外出しは男性が射精する前に陰茎を膣から抜いて避妊しようとする行為のことを言います。性交渉中に分泌されるカウパー腺液には、微量の精子が含まれていることがあり、完全な避妊方法とは言えません。射精のタイミングが間に合わずに膣内に射精してしまう危険もあります。実際に「外だし」を行った女性の約22%が予期せず妊娠しているという報告もあります。

日本は男性主導、欧米は女性主権の避妊法が主流
世界各国での避妊法の選択は、その国の文化や教育の違いが色濃く反映されています。特に、日本と欧米諸国では避妊法に対するアプローチが大きく異なります。
日本は男性主導の避妊法が主流
日本では、「避妊法として何を選択しますか?」という問いに対して、半数以上の人がコンドームを選び、次いで膣外射精を選択しています。
実に7割以上が男性主導の避妊方法で占められているのです。
一方で、ピルの使用率は約3%、子宮内避妊具(IUD/IUS)の利用はわずか0.3%と、高い避妊効果が望める、かつ女性主権の避妊法は低い割合を占めています。
欧米は女性主権の避妊法が広がる
対照的に、フランスやドイツをはじめとするヨーロッパの多くの国では、ピルの使用が半数以上を占めています。
また、IUDの使用率も高く、コンドームの選択率は約15%です。
アメリカでも、ピルと女性用の不妊手術がそれぞれ22%を占め、IUDやコンドームの使用率も同様に15%ほどです。
欧米では避妊効果の高い方法や女性が主体的に選択できる方法が主流となっているのです。
性教育と避妊法の選択
これらの違いの根底にあるのは、各国の性教育の違いがあるのではないかと思います。
日本でも望まない妊娠を防ぐために「自分の身は自分で守る」ための正しい性教育が必要です。
また、ヨーロッパの一部の国では、ピルが無料で提供されるなど、若い女性が気軽にアクセスできる環境が整っています。こういった環境を整備することも大切だと思います。
日本にはなく海外にはある避妊法
日本にはなく海外で見られるいくつかの避妊法があります。
短期間有効な避妊法としては避妊注射と避妊パッチがあります。そして長期間有効な避妊法としては避妊インプラントがあります。 私自身、避妊インプラントが日本でも利用できるようになればと考えています。
子宮の形や子宮筋腫、過多月経などで子宮内避妊具(IUD/IUS)の使用が難しい方にとって、避妊インプラントは非常に有効な選択肢だと感じるからです。
避妊は女性自身の身体と未来に関わる重要なことです。
女性がさまざまな選択肢から自分にとって最適な方法を選べる環境が日本でも整えばいいなと思います。
避妊の知識を持つことは自分の身を守ることだと考えて、ぜひ正しい情報にアクセスしていただきたいと思います。
