ピルに対して否定的な考えや誤った情報をもたれている方がまだまだ多くいらっしゃいます。そこで今回は改めてピルに関して正しい情報を産婦人科医のみなみ先生に教えていただきます。
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ピルを飲むと脳は妊娠していると勘違いする
”ピル”といった時には一般的に”経口避妊薬(低用量ピル)”のことを指します。
ピルは卵巣から出る黄体ホルモンと卵胞ホルモンという2種類のホルモンで、できているお薬です。
ピルを飲むと脳は「妊娠してる!」と勘違いします。
すると脳が排卵を抑制するため妊娠することがありません。 生理が始まるタイミングから服用を開始して毎日内服することで高い避妊効果が得られます。 また、生理痛やPMS、月経不順などの生理にまつわるお悩みにも効果があります。
ピルには大きく分けて3つの種類がある
ピルの種類は、経口避妊薬(低用量ピル)、中容量ピル、アフターピルなどがあります。
低容量ピル
低用量ピルは先ほどお話したように避妊目的だったり生理痛やPMSの緩和だったりに使用します。
使用後、最初の2、3か月は軽い副作用として吐き気や胸の張り、不正出血が起こる可能性があります。
可能性は低いですが大きい副作用として血栓といって血の塊が足にできてしまうことがあります。
そのためピルを服用する前には問診票で内服が問題がないかを必ず確認する必要があります。
中容量ピル
中容量ピルは低用量ピルよりも卵胞ホルモンの配合量が多いので、月経の時期を変えたりアフターピルとして使用されることがほとんどです。
ホルモンの配合量が多いために低用量ピルより吐き気が強く出やすいという副作用があります。
アフターピル
アフターピルは中容量ピルを用いることもありますが、一般的な婦人科で普段お出ししているのはレボノルゲストレルという、より避妊効果の高いものです。
性交後72時間以内に服用することで妊娠を防ぐことができます。性交後なるべく早く飲むほど高い避妊効果が期待できますが、100%の避妊効果はないということを知っておきましょう。
年齢に応じたピルの内服の注意
基本的にピルは初経から閉経まで服用可能とされています。
ピルに含まれるエストロゲンは骨の成長に関係しています。ピルを初経以降の早い時期から内服を開始したことで骨の成長を阻害したという事例は今までありませんが、10代前半の内服は注意が必要です。
また、加齢に伴いピルの内服は脳卒中、心筋梗塞、動脈硬化などの心血管障害や血栓塞栓症のリスクが高まります。そのため採血や血圧管理を定期的に行いながら継続する必要があります。
そして閉経まで服用可能だとはいいますが50才以上の方への投与は推奨されていません。
ピル服用者とピル未服用者では、ピル服用者の妊娠率が高い
ピルに関する間違った情報として、「ピルを服用すると妊娠しづらくなる」といったものがありますが、ピルの服用や服用期間と妊娠のしづらさは関係ありません。
卵子は胎児の時に作られ、その後、減り続けていきます。最近ではピルを長期間服用することで卵子の減少を遅らせることができ、ピル服用者がピルをやめた時の妊娠率がピルを服用したことのない方より高いことがわかっています。
現在、日本で使用されているピルは21日間、77日間、120日間飲んで休薬するという3パターンがあります。通常、休薬期間は生理の出血があります。ピル服用中の出血は通常より少なくなることが多いですが、完全に出血しなくなることは基本的にはありません。
稀に長期間ピルを継続していると休薬期間に出血しなくなる方もいらっしゃいます。
ピルは誰でも服用できるというわけではありません
ピルは確率の高い避妊法を選択したい方や、月経不順がある方、生理痛やPMS、月経量が多いなどの生理に関するお悩みのある方に服用していただきたい、お薬です。
ただし前兆のある片頭痛もちの方、重度の喫煙者、高度肥満の方などの血栓症を発症する可能性の高い方や乳がんの既住がある方は服用できません。なので事前の問診がとても大切になってきます。
お薬はなんでも正しく服用することが大切です。ピルを飲んでいるからと安心せず、コンドームも併用しながら避妊をしていただければと思います。