現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、親への挨拶といった真面目な話をしようにも、一向に取り合わない彼女がいるアラサー男子。何を考えているかわからないとキレ気味の彼に、三松先生が長続きできるカップルの秘訣を伝授します。
※こちらは過去にananwebに掲載された記事を株式会社マガジンハウスの承認のもと「トキメキ」に掲載しています。
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【レスなひとびと】vol. 41
建司(31歳)真面目な会話レスの彼女をいつのまにか責めているのに気づかず傷つけまくる
ベッドの中、建司はむかつきながら美樹のふくらはぎを蹴る。
「またそうやって無視。なんで話し合わないの?」
彼女の美樹は、背中を向けて寝たふりだ。こっちが真面目な話をしようとするといつもこうだ。エッチする気も失せる。美樹はいっこうに返事をしない。やり切れない思いを抱えつつ、建司も眠りにつく。
建司は保険の営業マン。職業柄、友人に保険未加入の人がいたら紹介してくれるようにお願いしていた。それで、1年前に紹介されたのが美樹だ。
ネイルサロンにフリーのネイリストとして勤める美樹は、柔らかくかわいらしい見た目のなかに、人生まじめに考えているぞという芯がある。そんなギャップを感じ、恋に落ちた。保険勧誘より恋愛先行。
髪の毛サラサラでつぶらな瞳。美樹のことはビジュアル含め大好きだ。唯一不満なのは、二人の間に問題が起きた際に向き合ってくれないこと。建司は考えていることを、言葉で伝え合える関係を理想としている。結婚を考えているので、なおさらだ。
仕事終わり、美樹と待ち合わせて、行きつけの居酒屋に行く。レモンハイとウーロンハイで乾杯。美樹がごきげんそうに話し始める。
「同期の弥生から聞いた話が最高なの。先週末アプリで出会った人とデートしたらしいんだけど」
建司が真顔になって話を制する。
「それよりこの前のこと、ちゃんと話そう。お父さんとお母さんへの挨拶の時期決めなきゃ」
美樹が小さなため息を吐く。
「またその話ね」
「またその話って……大事なことじゃん。何をどう考えてるか話すのは俺ばっか。美樹は自分の気持ち言ってくれないじゃん」
「じゃあ言うけど、建司は、1から10まで話し合おうって。バーッて自分の考えだけ言って満足してるだけ。毎回ついていこうと必死になってる私の身にもなってよ。建司、押し付けがましい!」
美樹がバッグを肩にかけた。
「二人で楽しく過ごすって、全部伝え合うことだけかな? 相手の話したいタイミングを待ったり、言われたことを受け止めようとする時間を持つことは違うの?」
店を出ていく美樹。ショックで体が動かない。
「結婚については迷ってた。ちょっと距離を置こう」
1時間後、美樹からLINEが届き茫然とする。え、俺が悪かったの?
パートナーと話し合いが上手くできない…タイミングを掴むには?
あなたは、パートナーとなんでも話し合いたい派ですか? それともネガティブ案件や、ガチマジの話し合いは少なくしたい派?
真面目な話は苦手で、彼が真顔になると緊張するという人もいます。
同じ価値観のふたりが付き合えば、こんなことで揉めません。ただ、価値観が違うから惹かれあうことがある。自分が思いもよらぬことをする人との出会いや、共に過ごす時間は、お互いが成長できるチャンスでもあります。人間の幅が広がるってやつです。「へえ、こんな考え方があるのねえ」と「へえ」連発の関係は新鮮でしょう。
価値観が違うふたりが付き合った場合必要になるのが「感謝」と「理解しようマインド」。想い合う気持ちが同じでも、アプローチが違うために誤解が生じやすい。
普段から、「ありがとう」という感覚を伝えることを心がけましょう。「ありがとう」連発ではなく、そう思いながら話をする。
「話し合えない」じゃなくて「話を聞いてくれてありがとう」。「真面目な話ができない」ではなく「一緒にいると楽しいからありがとう」。理解してくれているかと考えながら話す。
ただ、上記対応をすべきかどうかの見極め点は、相手を全面的に信頼できるかどうか。出会う人すべてがぴったり適合の相手なわけではありません。信用できずに責めてしまい、さよならするのは、それはそれで縁。別れて正解となる場合もあるでしょう。大事な場面を逃げ続けるパートナーと、一生いることが幸せかどうかはわからない。
相手には相手の向き合いたいタイミングがあるはずです。信頼できて、一緒にいたい相手なら、自分のタイミングのみで気持ちを押し付けず、責めず、待つ努力もしてみて。
「何考えてるかわからない相手。なんで向き合ってくれないの? と責める前に、タイミングがよかったか考えて。あっちはうまく話せなくて悩んでるかもしれないぞ。ひとにはペースっちゅうのがある!」
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