女性心の不調は身体の仕組みの問題【鍼灸師えみすけの性講座】

セックスや薄毛のお悩みを解消する方法を鍼灸師として東洋医学の視点から発信している鍼灸師えみすけさん。

トキメキでは女性性を諦めず、自立し自律した日々を送るヒントを紹介していただきます。第2回は女性心の不調は身体の仕組みの問題です。

この記事を書いた人:

鍼灸師 /えみすけ

身体の仕組みが心の不調を引き起こす

生理前になると、こんなことはありませんか?

  • 「なんだかイライラして、彼氏や夫にきつくあたってしまう」
  • 「気持ちが落ち込んで、情緒不安定になってしまう」
  • 「ものすごくマイナス思考に陥ることがある」

もともと女性の心は、男性に比べて、とてもうつろいやすいのですが、それが生理前になると、さらにひどくなります。でもこれは、本人の性格が悪いとか未熟だからというわけではなく、すべては身体の仕組みのせい。

「不安定でしんどい!」と思うこともありますが、「こういう理由で不安定になっていたんだ」とわかると、ちょっとだけ自分を肯定的に見てあげられるかもしれません。

「今わたしはこういう状態だから、もし感じ悪くなってしまったらごめんね」

と事前に相手に伝えておくことで、無用な人間関係のトラブルも避けられるとしたらどうでしょう?

今回は東洋医学の視点から見た、生理前の女性の心の不調について書いていきます。

女性は日々、変化していくことが当たり前の生き物

東洋医学の陰陽論(いんようろん)では、「陰」と「陽」は対立する性質でありながら、お互いを補完し合う関係だと位置付けています。

たとえば女性は冷え性の人が多く、男性と触れ合っているとあたたかさを感じてほっとしたりします。男性も、女性のやわらかい肉体に触れていると、同じようにほっとします。お互いに、「自分にないもの」を求めているんですね。

自然界でいうと、太陽は「陽」、月は「陰」に分類されます。太陽は、ずっとまあるい形をしていますね。けれど月は、満ち欠けがあり、満月→半月→三日月→新月などと形を変えていきます。女性は陰に属するので、月と同じように「日々、変化していくことが当たり前」の生き物なのです。

いつも柔軟に変化に対応できるからこそ、周りの些細な事柄にも敏感に反応したり、だれかのケアをしたり、細やかな気遣いができるのかもしれません。

それは、女性の持つ、とっても素敵なところです。

女性の不調に大きく関係するのは“肝”

東洋医学では、人間には「五臓(ごぞう)」があると考えます。

西洋医学でいうと、胃、小腸、大腸、肝臓など、様々な臓器がありますが、昔の中国でも、「臓腑(ぞうふ)」というそれぞれの働きを持つ部位があると考えていたようです。

「五臓六腑にしみわたるぜ!」なんて言われている、あれです。

五臓には、肝・心・脾・肺・腎があります。

そしてその中でも、女性の心の不調に大きく関係しているのは、「肝(かん)」

肝には、大きく分けると2つの作用があります。

  • 疏泄(そせつ)作用:体中に気(体を動かすエネルギー)を巡らせる作用
  • 蔵血(ぞうけつ)作用:血を貯蔵し、体の状態に合わせて血流をコントロールする作用

つまり肝は、血を貯めて、気を流しているのです。

生理前は、女性の身体の中で、「血(けつ)」が大きく動きます。

(ちなみに東洋医学でいう「血(けつ」は、血液と全くのイコールではないのですが、おおむねそんなもんやと理解してください)

普段は肝に貯蔵されているはずの血が少なくなると肝の持つ気が減り、機能が落ちます。

疏泄できなくなると、気が上に上りすぎてしまい、イライラしたり、頭痛が起こったり、顔にニキビができたり、不眠になったりもします。

逆に、気が巡らなくなると、気持ちが落ち込みます。また全ての流れが悪くなるので便秘になったり、情緒不安定になったり、冷えが生じたり、胃腸の不調もあらわれます。

このように、血が少なくなったり、あるいはストレスを受けたりすると、肝はすぐに機能を失調させます。

身体の中の熱が上にのぼっていると、熱が亢進(こうしん)した症状(不眠やイライラ)が出ますし、気が落ち込むと停滞の症状(気分の落ち込みや情緒不安定)が出る、というわけです。

めちゃくちゃ嫌ですよね(笑)。

では、どうすれば肝の機能をなるべく保っていられるのか見ていきましょう。

自分の状況を俯瞰的に分析してみる

生理前は、生活の仕方を変えるのが良いとされています。例えば…

  • 鉄分が豊富なものを食べる
  • ジャンクフードなどを控える
  • 身体を冷やすものやアルコールは避ける
  • なるべくたくさん寝る
  • ストレスをかけないように自分を守る
  • できれば少し身体を動かす

これらはすべて、血を増やし、消耗を抑え、気を巡らせる方法です。

わたしたちの心は独立しているわけではなく、身体という「容れ物」と共同して働くものなんですよね。なので心の不調は、身体をととのえることで、ある程度は調整できます。

いつも生理前に不調を感じる人は、ぜひ来月から、ちょっと過ごし方を変えてみたり、自分は今こうなっているんだなと分析してみたりしてほしいです。

そして生理が終わったら、思いっきりいろんなことを楽しんで、ときめいてくださいね。


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この記事を書いた人

大阪市住吉区にてRISA鍼灸院を経営。完全個室のプライベート鍼灸院として、これまで約8000名を超える方々の健康増進を目的とした鍼灸施術を行う3児の母。妊活や産後のセックスレス、更年期以降の不調にまつわる男女の相談を数多く受ける中、人々の生きる活力の一つである「性」に重点を置き、人間関係を良好に保つことを目的として、鍼灸院で臨床を行う。