ライフスタイル

「ド上流」と「ド下流」の両方を体験してみよう

私が今までに泊まったホテルのなかで、必ずみなさんが「もっと話を聞きたい」と言ってくれるホテルは、ハリウッドのビバリーウィルシャー。
そう、映画『プリティー・ウーマン』に登場する、ド上流なあのホテルです。

私たちの世代の女性は、『プリティ・ウーマン』のビビアン(ジュリア・ロバーツ)のシンデレラストーリーに憧れていました。
ウィルシャーで、リチャード・ギアみたいな大金持ちとエレベータでぶつかり、恋が芽生えたら幸せだろうなとまじめに思い、泊まりに行ったのです。

私の座右の銘は「百聞は一見にしかず」。
やはり、雑誌や映画で見るのとは感動が違います。

リチャード・ギアとジュリア・ロバーツが愛しあった場所も、ジュリアがドレスを着てさっそうと歩いた豪華なロビーも、ズキュンと心に迫ってきます。
もちろん、素敵なワンピースを着て、ロデオドライブにも行きました。

ハリウッド映画のなかに自分がいる贅沢。
イチゴとシャンパンを頼み、妄想にふけるだけで、ド上流な世界を体験できるのです。
ディズニーランドやユニバーサルスタジオの3倍は感動できます。

生の体験談こそ、周囲の人を惹きつけます。
会話の中心になるコツは、まわりの人が目を見張るような多くの体験談。
キラー体験談です。

でも、この体験談が高級路線ばかりですと、偏ります。
ただのコウマンチキでヤナ奴になってしまいます。

私はもともとお嬢様ではないので、学生時代は民宿やユースの旅を満喫しました。
大人になってからも、「じゃらんで選ぶ6000円以下の宿」「ザ・国民宿舎」などが大好きで、使いまくりの日々です。

現在、格安の宿は学生と遊びに行くときに使います。
そして、
「冷蔵庫のジュースやビールは飲んだらあかんで。
高いんや。
近所のスーパーで調達してから宿に行って、冷蔵庫のものをぜんぶ出して、入れ替えるんや。
チェックアウトの前にもとに戻したらええねん」
「宿で持ち帰りOKのタオルは捨てたらあかんで。
明日の日帰り温泉で使うんや。
温泉施設はタオル200円もするんやで」
と、関西のケチなおばはん口調で若者にレクチャーします。

安い旅をする場合は徹底的にケチる。
ド下流の旅です。
「そこまで節約する? 鬼ですよ。
恥ずかしくないんですか!?」と学生がトホホと嘆くくらい、安くあげます。

私が好きなお風呂にも、ド上流とド下流があります。

ド上流は、高級ホテルのスパです。

東京でも海外でも、高額な部屋代のホテルのスパは、それはもういたれりつくせりの極楽ヘブンです。
温度も証明も香りも、それはそれはこの世のものとは思えない快適さ。
天国とはまさにここです。
ハイビスカスが浮いてあったりして、お姫様になれます。

ハリウッドのセレブが行く、スパで有名なマウイ島グランドワイレアのスパ&リゾートにも行きました。
ここでも「百聞は一見にしかず」の体験ができました。

お風呂の天井は見上げるほど空高く、解放感たっぷり。
いったい何色あるのかというほどカラフルなバスタブが並び、古代オリンポスみたいな銅像があちこちにそびえたち、快適なジャクジーが身体中をほぐしてくれます。

「クレオパトラはこんなお風呂に毎日入ってたのかな?」と、時空を超えてトリップ。

世界には、こんな豪華な夢のようなお風呂があるのです。

こういった1回4万5000円もするようなド上流のお風呂もあれば、450円しかしないド下流の銭湯もあります(銭湯をド下流と言うのはたいへん失礼ですが、金額的視点で見たネーミングとして許してください)。

私は銭湯をこよなく愛しています。
うちの近所の銭湯5軒を日替わりで行くくらい好きなのです。

ママチャリをフル活用。
近所なので、最低最悪のファッションで銭湯めぐりをします。
毛玉のセーター、よれよれのジャージ、マスク、890円のマフラー、我が子にもらったキティサンダル。
本当にダサダサの格好です。

そして、関西のケチなおばはんになって、高級ホテルからくすねて持ち帰った石けんとシャンプーとボディタオルを必ず持参します。
無料のロクシタン、モルトンブラウンのボディシャンプーを銭湯で使う贅沢。

銭湯がオープンする時間に行くと、常連の70歳以上のおばあちゃまたちと「フロトモ」になれます。
地元の昔の様子や、この銭湯は昔こうだったああだったという歴史や、「卵は○○屋が安いよ」といったお宝情報が満載。

東京独特の黒湯の効能は、おばあちゃまたちがすでに体験済みですから、信頼できます。
「わたしゃ、膝がずっと痛かったんだけどさあ、電車でこの黒湯に通うようになってからすっかり治ったわあ」とくしゃっと笑うおばあちゃんたち。
「良かったね、良かったね」と喜ぶ私。

銭湯のコミュニケーションでは、お互いの健康を喜び合うというのがいちばんの重要ポイントなのです。

このように、ライフスタイルのなかで、つねに「今、ド上流体験中」「今、ド下流体験中」と意識する気持ちを芽生えさせると、中間にある幸せがくっきり浮き上がります。

私が主催する夫婦仲相談所にやってくる主婦のみなさんがよく言うセリフは、
「どうせ私なんて……」
そんなきれいな顔でこの世に生まれてきて、センスの良いバッグを持てて、子どもさんもお受験できるくらい恵まれているのに、ダンナさんとの不仲だけで世界が真っ暗だと嘆く方がたくさんいるのです。

ほかの幸せから目を背け、不幸にだけ集中すると、自暴自棄路線まっしぐら。

十分幸せなのに、幸せに思えないのはなぜか?
それは、中間の幸せを見過ごしていて、ありがたやと思っていないからです。

「どうせ私モテないし、結婚できなくて不幸。
最低。
メソメソ」とうしろ向きになりがちな人は、自分の行動の「振り幅」を大きく広げてみてください。

ド上流体験とド下流体験は、わかりやすい指標になります。